- Very Good Quality -
エリオ・アルターレを代表する畑「アルボリーナ」で造られるネッビオーロ100%のワインには「ランゲ アルボリーナ」と「バローロ アルボリーナ」の2種類存在しますが、こちらは新樽比率がより低く、逆に熟成期間が長い「バローロ」になります。
圧倒的なまでに豊かなタンニンを内包し、そこから生じる苦味はドライで厳しく、口中には収斂と渇きが広がります。しかし、驚くことに実際に伝わってくるのは真逆の感覚で、力強い苦味ではなく、心地よい滑らかさを主体とした親近感が全体を統率している傾向にあります。高いポテンシャルを有しながらも、非常にエレガントで高次元のパッケージング力を発揮しているのが印象的で、今回続けて試飲した2008年の11本のバローロの中では最も高い完成度に達している印象を受けます。
明確なインパクトや圧倒的なエネルギーを誇るタイプではなく、あくまでもラ・モッラらしい流麗で現実味溢れるスタンスなので、グラス一杯を短時間で判断するようなテイスティング方法だと、その本質を見誤って過小評価する可能性が高そうです。純粋な評価としては、前後の偉大なヴィンテージと言われる2006年や2010年の方に分がありそうですが、実際の生活の中で飲んで楽しむ現実的なワインとしてのスタンスを考慮した場合、このパッケージングの高さと料理に合わせやすい世界観は、結果として飲み手に非常に高い満足感を与えてくれそうな印象を受けます。重層的なタンニンが織りなす様式美は、まさにバローロの本質を具に表しているようでもあり、これだけのタンニンを内包しながらも心地よさを一切失わないその姿は、多くの場面でより多くの人を魅了してくれそうです(現状だと抜栓翌日に持ち越すか、デキャンタを使うことで最高の状態が堪能できそう)。
(2018/11)