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1級格付けの「五大シャトー」に迫る品質を生み出し、2級格付けの中でも筆頭クラスを歩む「スーパー・セカンド」として有名なのが「シャトー・レオヴィル・ラス・カーズ」。そんなラス・カーズのセカンドワインとして、これまでは「クロ・デュ・マルキ」がそのポジションに位置していましたが、実際にはラス・カーズとは異なる区画の葡萄が使われていたということもあり、2007年ヴィンテージからは、本当のセカンドワインとしてファーストと同じ「グラン・クロ」と同じ葡萄の若木から、この「ル・プティ・リオン」が造られています。
カベルネらしい緑のニュアンスを感じるハーブ風味が広がり、全体的に控えめなボリューム感や軽妙さが、程よくラス・カーズらしいエレガントな表情を作り出しています。表層は軽妙な雰囲気ではありますが、モダンな醸造スタイルをしっかりと打ち出していることもあり、体躯内部には熟して凝縮した果実がミッチリと詰まっています。皆が想像する伝統的なボルドー像が展開されるわけではなく、他の産地で一般層に支持されているような系譜のワインと対等に向きあうスタンスで、不思議と全体像としては一定の満足感と魅力を解き放っています。
翌日に持ち越すと表情がガラリと変わり、抜栓日に感じたカベルネらしいハーブ感は影を潜め、逆に煮詰めた小梅を主体としたような、甘味と旨味と酸味が一体化した独特の甘酸っぱい表情へと推移します(ややニューワールドっぽい)。従来のボルドー像、そしてラス・カーズらしさとはやや異なるものの、それでも素直な美味しさを感じる魅力ある世界観だと言えるので、これまでよりも多くの人に楽しんでもらいたいというのが率直な印象です。
(2018/10)