- Very Good Quality -
以前はシャトー・レオヴィル・ラス・カーズのセカンドワインとして知られていましたが、2007年ヴィンテージから真のセカンドとして「ル・プティ・リオン」が誕生し、その後はサン・ジュリアンのテロワールを表現した第三のワインとしてのポジションへと変化しています。
素晴らしいヴィンテージの恩恵を受けた、豊富で屈強なタンニンをベースとしているのが非常に印象的です。現時点で10年経過していますが、その時間を感じさせないほどの強く堅牢性あるタンニンの表情と、時間に見合う適度に熟れた葡萄の熟成感、これらの二面性を同時に内包している傾向にあります。体躯そのものはやや鈍さや丸さが感じられ、やや儚さや脆さを感じる瞬間もありますが、圧倒的な堅牢性資質によって内部からしっかりと支えられいるので、決して崩壊するようなことはありません。抜栓日はタニックな側面が先行し、それ意外の要素が沈黙する傾向にありましたが、翌日に持ち越すと、当初は感じられなかった熟した果実の甘みが表出しだし、思いの外味覚としても十分楽しめる水準にまで昇華してくれます。
絶対的なポテンシャル要素と、それに相反する儚さや鈍さ、これらの要素をどう捉えるか、また、ボトルによって発生する個体差によってどうバランスが変化するのか、この辺りが評価に関する最大のポイントになりそうです。
(2015/11)