- Good Quality -
1982年がファーストヴィンテージとなる「グランブッシア」。良年のみ造られ、ロミラスコ、チカーラ、コロンネッロという3つの畑のブレンドによる、熟成期間の長い特別なバローロとなっています。
1997年といえば、評価としては偉大とされるヴィンテージではありますが、ネッビオーロにとっては収穫時期の猛暑の影響が大きく、アイテムによってはジャミーで酸が低めになりがちというマイナス面もあるので注意が必要です。そんな中、1997年のグランブッシアにについては不思議な果実の表情が主体となっていて、少し熱が入ったようなヒネ感を持っているのがやや気になります。今回の1本はリリースされた当時に正規ルートで入手し、その後手元で定温管理していたものなので、状態については万全です。また、以前試飲した同じ1997年のチカーラも同資質の表情だったので、もしかすると、このヴィンテージにおけるアルド・コンテルノの共通懸念要素なのかもしれません(とは言え、1997年のブッシア・ソプラーナは問題なかったので実際のところは謎)。
長命として名を馳せるグランブッシアとは言え、さすがに20年にも及ぶ熟成によって適度な熟成感が出ています。また、果実そのものの退廃感も加わり、紹興酒のようなニュアンスも感じられます。表層でうかがい知れる要素としては、やや60年代の古典的バローロの古酒に近い雰囲気でもありますが、それでも土台となる部分の堅牢性は未だエネルギーに溢れ、鉱石で築いた土俵のような絶対的安定感と重厚なタンニンによって、まだまだそのコアには明確な力を感じます。また、1996年ほどではないものの、体躯中心に細身ながらも芯のしっかりとした酸があり、1997年的な果実偏重スタイルにはなっていないのも特徴のひとつかもしれません。
全体的にやや端的で古典的指向性が強く、古酒的なニュアンスがより前面に打ち出されているので飲み手を選ぶ世界観ではありますが、こと最新ヴィンテージだと5万円を超える非現実的な水準まで価格高騰が進んでいるので、相対的にはまだお買い得感のあるグランブッシアと言えるのかもしれません(あくまでも通向け)。
(2017/11)