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全体的に纏まり感や一体感が程よく感じられる状態で、想像していたよりも飲み頃感のある熟成水準となっています。豊富なタンニンを含有し、高いアルコールによるヒリヒリするような表層の張りは感じられるものの、サンジョヴェーゼらしいタイトに引き締まったような系譜にはなく、あくまでも豊かなボディとネットリする程の緻密さ持った充足感あるスタイルになっています。確かに酸はしっかり感じられますが、熟度の高い果実味と熟れたタンニン、ヨード、そして樽のバニラ風味によって丸みのある甘さが感じられ、やや低重心な立方体な体躯感がベースとなった、万人受けしやすい世界観だとも言えます。
基本的には2010年と同列の系譜にあり、ある種、昔のリコルマのような間口の広いスタイルではありますが、ヴィンテージの影響なのか、それともボトル差なのか、これまでのペルカルロと比較すると相対的にやや大人しい印象を受けます。各要素の充実感は十分な水準で、素直に楽しめる飲み頃感なのも印象的ですが、パッケージングの良好さとは裏腹に、結果として現れる純粋な訴求力はやや控えめな印象というところかもしれません。もしかすると濃密系の世界観故の結果なのかもしれませんが、それでも変わらず非常に高品位なのは確かなので、決して失敗したと感じるようなことはないと思います。
(2017/09)