- Good Quality -
ホテル勤務からワイン造りの道へと見事に転身を果たした「木村滋久」の手により、2009年、ニュージーランド南島の北東部に位置するマールボロに設立されたワイナリーがこの「キムラ・セラーズ」。ニュージーランドと日本の調和、そしてワイナリーの新しい始まりと成長を願い、ラベルには「桜」を用いてシダの新芽となる「Koru」が表現されています。
これまで限定的に少量生産されていたロゼですが、この2016年が最後のヴィンテージとなるようで、残念ながら今後は生産される予定がありません(その代わり赤ワインのピノ・ノワールの生産量が増える予定)。通常のピノ・ノワールよりも早く収穫し、マセラシオンを行った後に圧搾してステンレスタンクで低温発酵されますが、色調はクリアながらもとても濃いルビー色で、多くのタンニンを含むしっかりとした酒質を有する飲みごたえのあるロゼとなっています。
イチゴやアセロラのようなフレッシュな表情に、アタックからストレートに響く、驚くほどのタニックさが非常に印象的です。その濃い色調からも想像できるように、緻密な要素を感じるポテンシャル系のロゼなので、その全容を解明するためには一定期間の熟成が必要かもしれません。今回は1年ほど熟成させて様子を見てみましたが、それでも抜栓日はタンニンが先行し、翌日に持ち越すことでようやくキムラ・セラーズらしいたおやかさが垣間見えるようになったので、比較的気軽に飲めるロゼとは言え、基本的には早飲みしない方が無難な傾向にあります(今後はもう飲めないと言うのが非常に残念)。
(2017/09)