- Very Good Quality -
ホテル勤務からワイン造りの道へと見事に転身を果たした「木村滋久」の手により、2009年、ニュージーランド南島の北東部に位置するマールボロに設立されたワイナリーがこの「キムラ・セラーズ」。ニュージーランドと日本の調和、そしてワイナリーの新しい始まりと成長を願い、ラベルには「桜」を用いてシダの新芽となる「Koru」が表現されています。
土壌は石と砂利のローム層。Bio Gro認証取得済みの有機栽培のピノ・ノワール(クローン115)で造られます。通常よりもより選果を厳しくし、選りすぐりの一粒一粒を低温マセラシオン後に発酵させ、プレス後に新樽比率30%のフレンチオークで11ヶ月熟成させています。
やや黒系果実の要素が強めで、熟度の高い果実味に相応の酸、漢方系のスパイシーさ、鉄分、土っぽいニュアンス等、それぞれ非常に充実した要素が感じられます。若干還元気味で硬さも見られますが、抜栓後にしっかりと時間を与えれば徐々に軽減していくので、あまり神経質になる必要はなさそうです。ニュージーランドらしい充実した果実の力が土台を形成しているものの、その表情は決してジャミーなものではなく、むしろブルゴーニュ(モレ・サン・ドニやジュヴレ・シャンベルタン)を感じさせるような質実なスタイルなので、ニューワールド的なピノが苦手な人でも満足できる表情だと言えます。
ボリュームのあるボディと充実感により、十分すぎるほどのポテンシャルが感じられますが、質感が軟質傾向にあるのが多少気になる点ではあります(明確な骨格が形成されている訳ではない)。とは言え、まだ現状では発展途上といった感もあり、今後どのような手腕で纏め発展させていくか、その可能性が将来のヴィンテージに対する期待にも繋がるので、既に高評価を得ているソーヴィニヨン・ブランだけでなく、こちらのピノ・ノワールにも注目していきたいところです。
(2017/09)