- Good Quality -
2011年に誕生した新しいアペラシオンが、この「コトー・ブルギニヨン」。以前あったブルゴーニュ・グラン・オルディネールの代替アペラシオンでもあり、シャブリからボジョレーまで、広大なブルゴーニュ地方の葡萄を自由にブレンドできるというのが最大の特徴です(白の主要品種は、アリゴテ、シャルドネ、ムロン・ド・ブルゴーニュなど)。
一般的なコトー・ブルギニヨンの白には、多くの場合アリゴテがブレンドされていますが、ルロワの場合は「シャルドネ100%」と、単一品種で造られているのが最大の特徴となります。独特の個性があった同じヴィンテージのマコン・ヴィラージュとは異なり、ブルゴーニュのシャルドネらしい要素が反映された世界観で、重量感のあるやや低重心な体躯と太めの酸が印象的です。また、仄かなレモンやリンゴのニュアンスに、アフターには苦味や塩味を感じるミネラル系の要素が広がり、より格上の知性ある佇まいが屹立しているような印象すら受けます。各要素の厚みそのものは現実水準ですが、明らかに広域ワインの持つ世界観を大きく超えた品位を兼ね備えているので、ポテンシャル系要素をより明確に感じる傾向にあります。
同じヴィンテージの赤のコトー・ブルギニヨンの場合、そのピークは抜栓日にありましたが、白の場合は抜栓翌日の方がよりピークに近く、ワインを多く飲み慣れた人ほど、その良さを実感できる質実な世界観だとも言えます。明らかにクラスを超えた内容ですが、それに伴い価格も上のレンジに位置しているので、コストパフォーマンス的観点からもバランスはうまく取れている印象にあります。ただし、2014年は酸主体の表情ということや、根本的に一般受けするような親近感あるスタイルではないことを考慮すると、AOCとしての訴求力の弱さが唯一の懸念材料かもしれません(根本的にルロワを選択肢に入れる人であれば、村名格以上のAOCを選ぶ傾向にあると思うので)。
(2017/04)