- Good Quality -
多くのブランドを展開するチャールズ・スミスですが、中でも「Kヴィントナーズ」はチャールズ・ズミスの中核に位置し、こだわりを持って極少量飲み造られるハイエンドのラインになります。
ザ・ビューティフルは、基本的に同じワラ・ワラのリヴァー・ロックと同じ畑から造られています。オーナーはダナ・ディブル。植樹は2001年に行われ、タブラス・クリークのクローンが使用されていますが、セパージュはやや異なり、シラー96%、ヴィオニエ4%と、僅かですが白葡萄がブレンドされています。醸造については「100%全房発酵」というのが特徴のひとつで、スキンコンタクトは45日、新樽比率は30%で澱とともに熟成が行われています。
他のKヴィントナーズのアイテムと比較すると、全体的にボディの厚みに秀でる傾向にあり、明確なボリューム感が非常に印象的です。樽の仕立て具合なども含め、より上質な造りを感じる世界観が広がり、シラーらしい緊密で微細なタンニンと程よいスパイシーさ、そして熟した果実の魅力が存分に楽しめます。数値としてのアルコール度数は14.5%とかなり高いものの(スペックシートではなぜか13.5%)、既に橙的なニュアンスの解れた表情が感じられ、口当たりの良さや滑らかなテクスチャなどが構築されていることもあり、実際にはアルコールが全く気になることなく心地よく飲み進めることができます。
豊かな体躯に乳酸の風味とやや高めの彩度が加わることで、やや大味かつ端的な印象を受けるのは確かですが、享楽的な表情を持った美味しさは即効性の高い訴求力を生み出すので、ベースにある一定水準の品質を考慮すると、必要以上にネガティブに捉える必要はないのかもしれません(全体像としては十分エレガント系なので)。高価格な傾向にあり、また、分かりやすいアメリカ的なスタイルではあるものの、内包する魅力そのものは前向きに捉えたいところです。
(2017/02)