- Good Quality -
オレンジ・キュラソーの代表銘柄「グラン・マルニエ」を生み出したアレクサンドル・マルニエ・ラポストール、そのひ孫夫妻によって創立されたワイナリー「ラポストール」と、ボルドーを代表する著名コンサルタント「ミッシェル・ローラン」の共同プロジェクトとしてスタートしたのがこの「クロ・アパルタ」。アンデス山脈からの冷涼な風を伴う寒暖差の大きいテロワール、そして1920年に植樹された自根のカルメネールとカベルネ・ソーヴィニヨン、これらが最も大きな特徴となります。
2012年ヴィンテージのセパージュは、カルメネール66%、メルロー19%、カベルネ・ソーヴィニヨン15%。カベルネらしいハーブやスパイス風味をアクセントとしながらも、体躯そのものはメルローよりの軟質で、現時点で既に樽系要素(チョコレート、バニラ)や熟度の高い果実感と一体化していることもあり、結果として群を抜くほどの魅力的な表情を生み出しています。コストがかかったモダンワインらしい表情で、醸造工程由来の要素も色濃くなっていますが、葡萄そのものの持つ力も十分なので、全体としてのバランスは非常によくできている傾向にあります。また、抜栓直後、最初の一口から全開で美味しいという不思議な魅力の指向性があり、ある種、皆にとって有難い「低難易度ワイン」だとも言えます(明快な美味しさ故にすぐ飲み干してしまうかも…)。
こういった魅力重視のスタイルは、どことなく1997年のブランカイアを彷彿とさせますが、万人に訴求しやすい反面、絶対的な価格からイメージする「圧倒感」がそれほどないということもあり、事前の期待が過剰に高い場合は逆にガッカリしてしまう可能性があります。つまりは「コストパフォーマンス」が最大の懸念材料になってきますが、それでもワインのクオリティそのものは十分納得できる水準に達しているので、懐に余裕がある富裕層がターゲットであれば、それほど大きな問題にはならないのかもしれません。
(2017/01)