- Good Quality -
近年のアマは製品ラインの再構築が多々行われていますが、通常のアマのキャンティ・クラッシコはリゼルヴァへと格上げされ、新たに新設されたキャンティ・クラッシコの最高位となる「グラン・セレツィオーネ」として、2010年からシングル・ヴィンヤードの「サン・ロレンツォ」が復活しています。過去造られていた単一畑シリーズはいずれもかなり高価でしたが、新たなサン・ロレンツォはリゼルヴァとそれほど変わらない価格帯なので、消費者にとっては非常にありがたい変化だと言えます。
現代の市場の要求に沿った造りが施されているのが印象的で、赤系のキュートで親近感ある果実味と、程よいMLFのアクセントによる「早くから楽しめる仕立て」となっています(若木で造られる「アマ」に近いニュアンス)。抜栓直後から驚くほど素直に楽しめてしましますが、実はこれらはあくまでも表層的な部分であって、サン・ロレンツォの持つ本来の世界観はまた一味異なる内容だったりもします。翌日に持ち越せばその辺りがかなり明確になりますが、サンジョヴェーゼらしいタイトな酸に、どっしりとした黒系のニュアンスを持つふくよかな土台と、指向性がガラッと変わるのが興味深いところでもあります。
2011年のキャンティ・クラッシコ全般に言える系譜かもしれませんが、全体的にニュートラルでモノトーンな指向性があり、派手さはないもののバランスよく纏まっている傾向にあるので、どのような場面であってもそつなくポテンシャルを発揮してくれそうな印象があります。早飲みして親近感のある表情を堪能するか、もしくはその本質が露わになるまで10年以上熟成させるか、いずれの要求にも難なく応えてくれそうなので、かなり有用性の高い一本になりそうです。
(2016/12)