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セッラルンガ・ダルバに最初に購入したクリュ「サン・ロッコ」は、美しい教会の前の丘の上に位置しています。標高330m、1.5エーカーの南向きの畑で、土壌は粘度と石灰岩、植えられた葡萄の平均樹齢は55年となっています。
まだ若い状態ではありますが、それでも10年の熟成によって各要素間の継ぎ目が取れ、程よい一体感が生まれている傾向にあります。全体的に樽要素が主体となり、バニラやクリーム系のトロミある質感に、甘みを感じる熟れたタンニンの表情が重なったような、端的なモダン指向を打ち出しています。相対的に果実感は控えめで(この辺りは2004年と同様)、人の手による影響や現代的な指向性が色濃く、アメリカ市場でより高く評価されそうな構成内容なのが多少気になるところではあります。やもすると、インパクト重視のやや単調な指向性と取られるかもしれないので、可能なかぎり抜栓後にしっかりと時間を与えてもらいたいところです。二日目に持ち越すと、そのコアにある表情は思った以上に質実で、余計な化粧っ気を取り払った方がよりポジティブな印象を受けるので、サービスで工夫するか、より長い期間熟成させてから楽しむことをお勧めします。
(2016/12)