- Good Quality -
ハートマークのラベルでお馴染みとなっている「カロン・セギュール」のセカンドラベルにあたるのがこの「ル・マルキ・ド・カロン・セギュール」。畑や葡萄はサードラベルのサン・テステフ・ド・カロン・セギュールと同様のようですが、醸造工程や使用品種においては違いが見られます。セパージュはカベルネ・ソーヴィニヨン60%にメルロー40%。畑の広さは45ha、平均樹齢は22年で、新樽比率30%のバリックで17ヶ月熟成し、卵白による清澄が行われています。生産本数は13万5千本。印象的な「ハートマーク」は、以前はグラン・ヴァンのみに刻まれていましたが、2013年からはセカンドやサードにも刻印されているので、見た目やマーケティング的にもかなり有用性が高そうです。
サン・テステフ・ド・カロン・セギュールとは価格帯も近く、同様の畑から造られていますが、その世界観は全く異なるものとなっています。セカンドのマルキはカベルネらしい堅牢感に、カロン・セギュールらしい剛直なタンニンの一端が垣間見られ、明らかに上のクラスの佇まいが感じられます。難しいヴィンテージとなる2013年だけに、全体としてはやや小振りで、果実味はやや乏しく、酸が主張する傾向にありますが、全体的なパッケージングは非常に良好で、今からでも飲める良質なボルドーといった印象です。
特に抜栓日の表情はよりポジティブな傾向にあり、カベルネの持つ個の表情と、カロン・セギュールという有力シャトーの手腕を存分に楽しむことができます。ある意味、2013年というヴィンテージの楽しみ方を知るにはちょうど良い1本当も言え、個人的にはかなりお薦めしたいところではあります。難点としては、翌日に持ち越した場合の落ち込み、本質的なエネルギーの減衰と言った部分ですが、これはヴィンテージの特徴でもあるので、その欠点を前向きに捉えて向き合えば、それほど大きなデメリットにはならないと思います。純粋な点数評価としては伸び悩むかもしれませんが、そういった側面では計り知れない魅力と楽しみ方があるのもまた事実なので、ボルドーが好きな人にはより前向きになってこのヴィンテージと向き合ってもらいたいところです。
(2016/11)