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「シャトー・カロン・セギュール」のサードラベルとされるのがこの「サン・テステフ・ド・カロン・セギュール」。畑や葡萄はマルキ・ド・カロン・セギュールと同様のようですが、こちらは3年使用のバリックで16ヶ月熟成し、生産本数は6万本となっています。印象的な「ハートマーク」は、以前はグラン・ヴァンのみに刻まれていましたが、2013年からはセカンドやサードにも刻印されているので、見た目やマーケティング的にもかなり有用性が高そうです。
2013年といえば、過去40年で最も過酷だったヴィンテージとして有名ですが、現代における醸造技術の向上はそのマイナスを補って余りあるほどでもあり、作柄の悪さを「程よい個性」としてうまく導いている傾向にあります。若いヴィンテージのボルドーでありながらも、現時点で既に普通に美味しく飲めてしまうのも驚きで、やや軽快で酸を主体とした気軽に飲む日常感が逆に好印象でもあります。カロン・セギュールらしいハッキリとしたタンニンは内包していますが、それでも刺々しさはなく、むしろメルロー固有の豊満さやキュートな果実味が身近な存在としてしっかり見を引き寄せてくれるのも美点のひとつです。点数評価が高くなるようなタイプではありませんが、食事と共に楽しみたい日常ボルドーとしては十分な内容だと言えそうです。
(2016/11)