- Good Quality -
これまでサンジョヴェーゼとメルローで造られてきたカザルフェッロですが、2007年からはメルロー100%となり、ラベルデザインも含めて全く異なる世界観へと変化しました。
2010年のような際立ったタンニン力由来の堅牢性はこの2011年にはほぼ見られず、イタリアらしい細く立ち上る酸に凝縮完熟赤系果実のキュートさが加わった、甘酸っぱい表情が主体となっています。抜栓日はまだしっかりとしたタンニンが感じられ、2010年の後ろ姿が思い出されるような程よい堅牢性も垣間見えましたが、やはりカステッロ・ディ・ブローリオやコッレディラと同様に、カザルフェッロについても2011年らしい親近感の方がより印象深い傾向にあります(翌日に持ち越すとこの傾向が一気に加速する)。甘旨味系の果実味ではありますが、時間とともにやや彩度が高くなる傾向にあるのが多少気になるところで、抜栓直後の印象だと総じてポジティブですが、翌日の雰囲気だと少し下の価格帯のワインのような印象を受けます。
メルローという品種らしさはあまり感じられませんが、それでもバローネ・リカーゾリらしい素性とその良質な造りは、モノセパージュ系アイテムにより明確に感じられる傾向にあるので、個人的にはコッレディラと合わせてこのカザルフェッロも推したいところではあります。
(2016/11)