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2001年にニュージーランドのマーティンボロでワイナリーを設立。今やニュージーランドを代表するだけでなく、世界基準で非常に高く評価される日本人醸造家「楠田浩之」によるピノ・ノワールです。
クスダといえば「ピノ・ノワール」と言われるほど、世界中から圧倒的な高評価を得ていますが、その世界観はまさに「ブルゴーニュの一流生産者にも通じる佇まい」とも言えます。非常に豊かで圧倒的に広がる芳香性の高さが印象的で、明確な甘味と旨味を兼ね備えつつ、緻密でありながらも滑らかで流麗、そして妖艶ですらあります。
現状ではまだ若いということもあり、抜栓日はやや端的な傾向にあり、その魅力に反して、内包するエネルギーやポテンシャル総量がやや不足傾向にあるようにも感じられましたが、時間とともに徐々に昇華し、翌日に持ち越す頃には見事な一体感と訴求力を発揮してくれます。同年のシラーも、味覚で感じる要素とはまた違うベクトルでの不思議な浸透感、自然と心に染み入る不思議なニュアンスがありましたが、ピノ・ノワールはそれを更に膨らませたかのようでもあり、シラー同様、気がつけばすぐにボトルが空になってしまいそうです。
最新のヴィンテージを試飲した時の状態、そしてその印象も鑑みると、やはりもう1〜2年ほどは熟成させたいところですが、現状でも抜栓後にしっかりと時間を取るなど、ある程度サーブを工夫すればその魅力は存分に堪能できると思います(基本的にはいつ飲んでも堪能できるスタイルではあります)。現状ですら非常に高い評価を得ていますが、2012年からリースしていた畑を2015年8月に購入し、遂にピノ・ノワールについても自社畑となるので、更なる高みに到達しそうな今後が非常に楽しみでもあります(価格の高騰だけが唯一の懸念)。
(2016/10、2018/10)