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佐藤嘉晃、恭子夫妻による小さなプロジェクトとして、2009年に始まったのが「サトウ・ワインズ」。もともとは銀行員だったという異色の経歴の持ち主ですが、転勤先のロンドンでワインに目覚め、ワインを造りたいという思いにかられ、最終的にニュージーランドにたどり着きます。セントラル・オタゴを代表する偉大な生産者「フェルトン・ロード」でキャリアを重ねたこともあり(恭子さんは現在もフェルトン・ロードの栽培に関与)、サトウ・ワインズも同じセントラル・オタゴを拠点としています。
バノックバーンにある「キャリック・ワインズ」が所有する畑「Cairnmuir Vinyard」のシャルドネで造られます。生産本数は僅か2,690本。収穫は手摘みで、収穫量は僅か45hl/ha。全房圧搾後、天然酵母で発酵され、オーク樽で17ヶ月熟成されます。
一般的なシャルドネのイメージとはやや異なり、その世界観は「サトウ・ワインズらしい自然派ならではのエネルギーと複雑味」が輝く傾向にあります。抜栓当初はやや単調かつシンプルで、全体を通してスッキリとした単一指向とレモン系のニュアンスが主体となりますが、時間とともに説得力と訴求力が増加していきます。同じサトウ・ワインズのピノ・グリにも相通じるような凝縮した複雑味がコアにあり、翌日に持ち越すと旨味をまとって明確な魅力へと昇華していきます。
現状ではリリース直後でまだ若いこともあり、欲を言えばもう少し熟成させたいところですが、それでも抜栓後にしっかりと時間を与えれば(翌日以降に持ち越すのがベター)、本来持つポテンシャルの一端はしっかりと感じ取ることができそうです。
(2016/05)