- Good Quality -
「ランチャ」でお馴染みのフェルシナが造る、スタンダードクラスの「キャンティ・クラッシコ」です。
以前試飲した2004年とは大きく異なるスタイルで、従来のタイトでライトタッチなサンジョヴェーゼ像から大きく舵を切り、果実の熟度と密度を感じるモダンな仕上がりになっていることに驚かされます。サンジョヴェーゼらしい細く立ち上る酸はベースにありますが、ほどほどに乳酸系の資質が感じられ、一般層に受け入れられる水準までグッと落ち着かせている傾向にあります。また、プラム系のニュアンスを感じる熟した果実感が適度なボディの厚みをもたらしているので、現代の市場で求められている「一般的ワイン像」にしっかりフォーカスしいるような印象でもあります。
結果として、ワイン誌の評価が高くなりそうな世界観ではありますが、その反面、技術ありきで纏めて来た印象も強くなるので、どうしても葡萄が持つ本来のポテンシャル総量の限界が気になることろではあります。「一杯(一口)だけ飲む」という場面であればそれなりの評価が得られそうですが、日をまたいで時間をかけてじっくり向き合うと、根本的な訴求力の不足感の方が気になるかも知れません。
(2016/04)