- Good Quality -
設立が1994年と歴史は浅いのですが、以前はベガ・シシリアに葡萄を売っており、設立と同時にピングスでお馴染みのピーター・シセックをコンサルタントに任命するなど、非常に良質なワインをコンスタントに生み出しています。下のレンジに位置するプルノのセパージュは、ティント・フィノ(テンプラニーリョ)90%、カベルネ・ソーヴィニヨン10%。熟成はフレンチオークバリックで12ヶ月間行われます。
造り手の名を冠した「フィンカ・ビリャクレセス」と同様のセパージュ、そして同様の高評価を得ていますが、その世界観はかなり異なります。現状ではかなり若くエッジが立つ傾向にあり、全体を通して、技術でコントロールし構築したような指向性が色濃くなっています。キリキリする酸、精製された甘み、渇きと収斂さを感じるタンニンによる渋み、これらが一体となることなく個々で主張し、そこから生じるコントラストの高さと彩度の高さが終始気になります。アメリカ市場受けしそうなインパクトとエネルギーは兼ね備えていますが、表情はやや無機質系(大量生産系)のフラットな傾向にあり、充実感はあるものの、あくまでもこのクラス相応のポテンシャルと言えるかもしれません。
抜栓日はあまり良い印象ではありませんでしたが、翌日に持ち越すと、思いの外良好な表情へと推移します。各要素の主張が少し落ち着くとともに、お互いが補正しあって過度なコントラストの高さが軽減されるので、結果として目指すべき完成形とも言える本来の青写真が少しずつ伝わってきます。とはいえ、やはり技術主体の世界観であることに変わりはないので、価格差を考えても、上のクラスとなるフィンカ・ビリャクレセスをよりお薦めしたいところです。
(2016/03)