- Good Quality -
自社畑と思われる「カヌッビ」から造られるこの「ヴィーノ・バロレット」は、偉大な1964年ヴィンテージ、しかも生産本数700本という、貴重なバローロ・リゼルヴァとなります。
まず驚かされるのが、異常に短く、また見たこともない形に変形したコルク。この時代のバローロにしては珍しく、ボルドータイプのボトルが採用されていますが、口の内径部分がストレートではなく、先細りしているというかなり変わった形なこともあり、長きにわたる年月によって、そのコルクは見たことのない先細り状態で圧縮されています。実際、かなり貧相なコルクが使用されていて、力を入れなくても簡単に抜栓できるのにも驚きます(古酒とは思えないほど難なく抜栓できます)。
色調は思いの外しっかりとし、一般的なネッビオーロとは異なる赤系で、見た目としては50年以上経過したような印象はありません。ただ、シェリーや紹興酒のような強めの香りが漂うので、ある意味、飲む前から長期熟成を経た古酒ということは伝わってきます(状態に対する不安も同時にあり)。
第一印象としては、果実味がなく、体躯もフラットで、枯れたヒネ系の風味のみが漂う残念なもので、何より一般的なバローロ(ネッビオーロ)とは違う、不思議な強さと指向性を兼ね備えていることもあり、サンタ・リタの1967年のような真偽不明感が漂います。ただ、ギリギリの線で踏みとどまるような不思議な表情が垣間見れ、実際、翌日に持ち越すことで息を吹き返します。当初は時間とともに衰えるだけかも…といった印象すらありましたが、抜栓日には感じられなかった果実味がしっかりと表出し、体躯の堅牢感なども徐々に蘇ってくる傾向にあります。ただ、やはりシェリー香が常にベースとして残るので、かなり癖のある、飲み手を選ぶ世界観なのは間違いありません。正直なところ、価格もかなり高いので、内包するリスクを考えると、一般層は手を出さない方が無難です(おそらく古酒マニアのみがターゲットになりそう)。
(2016/01)