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モレ・サン・ドニに隣接するクリマですが、逆隣に接する著名なグラン・クリュ「シャルム・シャンベルタン」を名乗れるということもあり、実際に「マゾワイエール・シャンベルタン」として出荷されるワインは極稀となります。
グラン・クリュとしての圧倒感が伝わるようなタイプではありませんが(むしろ控えめで薄めのスタイル)、2000年という暑かったヴィンテージの恩恵もあってか、熟した果実味の甘みと旨みが渾然一体となり、どこかDRCの資質にも似た魅力を有していることに驚きます。極僅かに古風な納屋的風味も感じられますが、ネガティブな要素になるほどの存在感はなく、むしろ圧倒的に果実の旨甘みの方が印象的なので、全体像としては素直な美味しさと魅力を持った分かりやすいスタイルだと言えそうです。また、外連味なくスルスルと飲めてしまう実直な魅力が印象的なので、結果として、圧倒的なコストパフォーマンスの高さが脳裏に焼付くほどでもあります。ACブルゴーニュですら1万円に達することもあるなど、近年のブルゴーニュにおける異常な価格高騰傾向を鑑みると、グラン・クリュ云々という次元の話を抜きにしてもなお、際立ったコストパフォーマンスを維持していると言えそうです。オールド・ヴィンテージ特有のロット差は避けられないかもしれませんが、この価格帯であれば多少のリスクは相殺されると思うので、積極的に試してみる価値は大いにありそうです(とは言え、過度の期待は禁物です)。
(2015/01)