- Good Quality -
伝統的なスタイルのバローロを造るのことで有名なのがこの「マスカレッロ・ジュゼッペ・エ・フィリオ」。伝統的とは言いつつも、通常は単一畑のバローロのみを造り、1904年に購入したモノポールの「モンプリヴァート」、1985年に購入した「ヴィッレーロ」、そして1989年に購入した「サント・ステファノ・ディ・ペルノ」という3種類のクリュ・バローロで構成されています。他の2つのクリュがカスティリオーネ・ファッレットにあるのに対し、このサント・ステファノ・ディ・ペルノは、唯一モンフォルテ・ダルバに位置しています。また、粘土質土壌ということもあり、相対的により大柄なスタイルのバローロとなります。
クレリコのチャボット・メンティン・ジネストラの後に試飲したこともあり、その違いが非常に印象的ですが、余計な要素を削ぎ落とした断捨離系でありながらも、各要素とじっくり向き合いそれぞれを紐解いていくことで、実は表情豊かで充実した内容を兼ね備えていることに気がつきます。純粋な果実味は確かに控えめで、現状でほどほどの熟成感が漂い、酸化熟成系の指向性がベースとなっていますが、ドライなタンニンは厚みはないものの非常に精緻かつ堅牢性があり、時間の経過とともに徐々に良質な世界観構築に寄与していきます。
表層的には適度な熟成感がすぐに伝わってくるので、既にピークが見え始めているような印象を持ってしまいがちですが、その実、本質はまだまださらけ出されておらず、今後のさらなる熟成によってようやく露になりそうな印象でもあります。
(2015/12)