- Good Quality -
ホテル勤務からワイン造りの道へと見事に転身を果たした「木村滋久」の手により、2009年、ニュージーランド南島の北東部に位置するマールボロに設立されたワイナリーがこの「キムラ・セラーズ」。ニュージーランドと日本の調和、そしてワイナリーの新しい始まりと成長を願い、ラベルには「桜」を用いてシダの新芽となる「Koru」が表現されています。
スペシャル・キュヴェと銘打った特別なソーヴィニヨン・ブランですが、実際には格上の存在というわけではなく、通常のソーヴィニヨン・ブランとはまた異なる指向性を持った、ある種の兄弟的存在になるようです。通常キュヴェと同じ畑の葡萄で造られますが、フランスの古樽で発酵と熟成を行うという点が大きな違いで、キムラ・セラーズらしい端正で綺麗、かつ流麗な資質はそのままに、よりコアにある土台の安定感、そしてボリュームが増している傾向にあります。ベースにしっかりとした指向性兼ね備えていることもあり、通常キュヴェの持つ親しみやすさや実直さといった側面は半歩ほど控えめですが、それでも基本姿勢は同じなので、キムラ・セラーズのスタイルが好きな人にとっては、同じように楽しめると思います。そういう意味では、ちょっとしたスタイルの差という違いとは裏腹に、価格帯そのものが一気に上昇しているというのが唯一の懸念材料かもしれません(樽を使用している分のコストを考えると仕方がないかもしれませんが…)。
(2015/12)