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ホテル勤務からワイン造りの道へと見事に転身を果たした「木村滋久」の手により、2009年、ニュージーランド南島の北東部に位置するマールボロに設立されたワイナリーがこの「キムラ・セラーズ」。ニュージーランドと日本の調和、そしてワイナリーの新しい始まりと成長を願い、ラベルには「桜」を用いてシダの新芽となる「Koru」が表現されています。
天候に恵まれた2014年のソーヴィニヨン・ブランは、端正で綺麗な落ち着いた表情を見せながらも、いたって健全で親近感ある、親しみやすい魅力と不思議な浸透力を持ち合わせています。ソーヴィニヨン・ブランらしい爽やかさやハーブ系の風味を程よいアクセントにしながらも、桃やシトラスを感じさせる果実感や小気味好い収斂感が魅力的で、現実的なボリューム感の中に多層的に各要素を織りなすその姿は、余計な主張を押し付けることなく、それでいてしっかりとした主張を持つ、ある種、日本人らしい凛とした立ち振る舞いが垣間見れます。一言で言うと「真面目に造られたワイン」と言え、所謂ニューワールド的なインパクト系ではなく、日常において向き合うほどにその良さがじんわりと心に伝わるような、ある種のおもてなし精神が込められているといったところかもしれません。
今回は、数年前に垂直で数ヴィンテージ試飲した時以来の試飲となりましたが、ベースは当時の印象の延長線上にあるものの、本質的に異なる次元の訴求力がじんわりと伝わる結果となったので、短時間のテイスティングでは拾いきれない魅力と可能性を兼ね備えていることに大きな驚きがあったとも言えます。ある意味、木村さんの真摯な人柄がありのまま反映された世界観と言えるのかもしれません。
(2015/03)