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中世の時代から「シャンパーニュで最も優れた畑」と言われ続けてきたグラン・クリュのアイ村。そんなアイ村のすぐ後ろにある南向きの急斜面に位置する最高の区画を含め、27区画を所有するのがこのガティノワ。トラディションのセパージュは、ピノ・ノワール90%、シャルドネ10%となります。
今年は何度かガティノワを飲む機会がありましたが、若き当主ルイの新しい風の影響もあるのか、以前と比べると徐々に良くなりつつある印象があります。ガティノワに訪問した際の印象では、ノン・ドゼの方がより良い印象でしたが、今回改めて時間をかけてじっくり向き合ってみると、抜栓当初はほのかに甘く感じられた口当たりも、時間をかけるほどに体躯に溶け込み、ピノ・ノワールらしい豊かさ、青リンゴ系の酸、黄系の果実味と一体となり、ブリュットの持つ真の訴求力に軽く触れたような印象でもあります。色調も濃く淡く色付き、見た目通りボリューム感ある体躯ではありますが、不思議と重くならず、バランスの良さも手伝って心地よい定位間の元で飲み進めることができます。余韻が長く伸びるような広がりや世界の偉大さを感じるような指向性ではありませんが、現実的に嗜みたいシャンパーニュとしては充分な魅力を持っていると言えそうです。
少し前にヴィルマールのグランド・レゼルヴと飲み比べる機会がありましたが、やはりピノ・ノワール主体となると、ガティノワが誇るアイのテロワールに分がありそうな印象でもあります。
(2012/11、2015/12)