- Good Quality -
ニュージーランドのマールボロにいち早く拠点を築いた造り手がクラウディ・ベイ。特にソーヴィニヨン・ブランの評価を世界的に高めたことで有名でもあります。
2006年から新しいラベルデザインが採用された、トップ・キュヴェとなるこの「テ・ココ」は、マオリの伝説として語り継がれている冒険家「クペ」の物語がその名前の由来となっています。2011年は、マールボロのサブリージョンとなるラパウラ、ブランコット、レンウィックにある6つの区画の畑から収穫されたソーヴィニヨン・ブランを使用して造られています。
スタンダードのソーヴィニヨン・ブランとはかなりスタイルが異なり、特徴的なハーブ風味はかなり控えめな傾向にあります。もしかすると温暖で豊作となったヴィンテージのスタイルが影響しているのかもしれませんが、それでもやはり、バリックを使用した野生酵母による発酵というテ・ココならではの手法がより色濃く反映されていると言えそうです。抜栓直後はかなり個性的な香りが漂い、樽、酵母、品種特性、これらが玉石混交一歩手前といったスタンスで主張しますが、時間とともに樽系の要素が熟れ、翌日に持ち越す頃になるとソーヴィニヨン・ブランが持つ本来の表情が主体となるまでに綺麗に昇華していきます。やや余韻があっさりしていますが、それでもコアにある果実の凝縮感と甘み、そして樽系要素と一体になったハーブ風味、表層に見られる多様性ある表情など、さすがはクラウディ・ベイのトップ・キュヴェといったところです。
ステンレスタンクを使用したスッキリとしたソーヴィニヨン・ブランとは根本的に指向性が異なるので、飲み手の嗜好が影響しやすい傾向にはありますが、その本質、ポテンシャルは十分に感じられるので、普段飲みのレンジとは一味違う、より格上の世界観を求める人にはちょうど良い選択肢と言えるかもしれません(唯一のネックは、相対的にやや高価な価格帯に位置していることでしょうか?)。
(2015/12)