- Very Good Quality -
1級格付けの「五大シャトー」に迫る品質を生み出し、2級格付けの中でも筆頭クラスを歩む「スーパー・セカンド」として有名なのが「シャトー・レオヴィル・ラス・カーズ」です。今回の1本は、70年代を代表するヴィンテージであり、屈強なタンニンの影響もあって、非常に長命なヴィンテージとして有名な1975年となります。
40年という長きにわたる熟成期間を経ていますが、しっかりとしたタンニンと内包される刹那的なエネルギーの迫力により、一口だけ飲む印象では、想像以上に若くまだ10年程度しか経過していないような印象すらあります。一般的に1975年というヴィンテージは、あまりにもタンニンが屈強すぎて、飲み頃になる頃には先に果実味が衰退している傾向にある点が懸念されていますが、今回の1本に関しては、しっかりとした熟度と求心力のある明確な果実味がコアにあり、タンニンのベールを一枚めくることで、はっきりとその魅力を披露してくれる傾向にあります。思った以上に果実の力がしっかりと感じられることもあり、バランス面でもそう悪い印象は受けません。とはいえ、そこはやはり40年という時間を確実に経ているのも確かで、グラスの中では刻一刻と表情が推移し、10分程度でもそのエネルギーはかなり減衰していきます。終始バランスが崩れることはないものの、屋台骨となる骨格そのものが感じられず(求心力と構造全体の力で保全されているような印象)、また、余韻も短く、儚さや危うさを内包しているかのような、良くも悪くも絶妙なバランスで成り立っているような印象でもあるので、決して純粋に味覚で楽しめる(感動できる)といった部類ではないかもしれません。ただし、このエネルギー総量、そしてまだまだ生きながらえることができるであろう長命性、これらから伝わる説得力はかなり高いものがあり、さすがは第2級格付け筆頭といったところかもしれません。
(2015/11)