- Very Good Quality -
醸造施設のすぐ近くの粘土質土壌の畑から、僅か4,000本程度のみ造られる希少なシャルドネがこの「グラフィン・ド・ラ・トゥール」となります。
ある意味、現代のワインらしからぬスタンスで、全体的に樽系要素がかなり強い傾向にあります。トースト感の弱い、生木っぽい風味がかなりしっかりと根付き、日本酒を彷彿とさせるようなクリーンさや硬質さ、そして瑞々しさが広がります。果実の熟度と甘みはしっかりと感じられますが、15%という高アルコール、そしてその体躯の引き締め感や厳しさなどが相まって、思いの外バランスのよい表情を構築しているようにも感じられます。
抜栓直後はやや際立った要素を感じますが、小一時間程度でかなりまろやかさが生まれ、その表情から発せられる訴求力に徐々に磨きがかかる傾向にあります。その個性とある種の厳しさに反し、なぜか不思議とグラスが進む傾向にあるので、高アルコール由来の飲みにくさはほとんど感じられません。この辺りはソーヴィニヨン・ド・ラ・トゥールにも共通する資質とも言え、言い方を変えればヴィッラ・ルッシツの持つ固有の美点、また優れた手綱捌きと言えるかもしれません。
(2015/11)