- Good Quality -
バローネ・リカーゾリという造り手を代表する偉大な1本がカステッロ・ディ・ブローリオ。「自社畑の葡萄のみを使用」「最低熟成期間30ヶ月(瓶熟3ヶ月を含む)」「アルコール13%以上」「官能検査をクリアする」など、より厳しい基準で新たに設けられたキャンティ・クラッシコの上位規定「グラン・セレツィオーネ」としてリリースされています。
セパージュはサンジョヴェーゼ80%、メルロー15%、カベルネ・ソーヴィニヨン5%。キャンティ・クラッシコ然としたようなサンジョヴェーゼ特有の孤高感とはある種対極にあり、まさに「リカーゾリが手がけるカステッロ・ディ・ブローリオというひとつのワイン」とでもいうべき、ひとつの完成された(独自の道を歩む)世界観を有しているのが非常に印象的です。一定のボリュームと立体感を持った体躯に、隅々まで行き届きそつなく纏められた構成力、ほの丸く無理なく享受できる資質など、抜栓直後から素直にその表情を感じることができます。意外なほど各要素が一体となり、程よい親近感を生み出していることにやや驚きがありますが、時間とともに徐々にその本質が露わになる傾向にあります。抜栓翌日に持ち越す頃になると、強靭なタンニンを主体とした強い苦味を感じる、ポテンシャル系の資質が色濃くなりますが、果実の魅力と丸みが感じられることもあり、相対的にはまだ許容範囲かもしれません。しかし、絶対的なタンニン力としては、同年のカザルフェッロ以上とも言えるので、カステッロ・ディ・ブローリオが持つ本来の世界観が盤石となるには、やはりそれ相応の時間が必要だと思われます。
(2015/04)