- Good Quality -
泡として有名なシャンパーニュの地にありながら、スティルワインの「コトー・シャンプノワ」の優れた造り手として名高いオリヴィエ・オリオ。シャンパーニュに関しても、ベースとなるワインの良質さが印象的な造り手でもあります。造り手としての歴史は浅く、栽培農家だった父から受け継ぎ、自身の名でワインを造り出したのが1999年。栽培と醸造を学んだのがブルゴーニュのボーヌということもあり、最初の4年間はシャンパーニュを造らなかったという異色の経歴の持ち主でもあります。
セーヴのブラン・ド・ノワールの特徴は、「単一品種」「単一畑」「単一ワイン」「単一ヴィンテージ」と、すべての要素をそれぞれ1点に集約している点にあります(生産本数は僅か3,823本)。キンメリジャン土壌の畑「アン・バルモン」に植えられたピノ・ノワールのみで造られ、熟成はシュール・リーで行われます。全体を通してスッキリとしたタイトな体躯を持ち、ピノ・ノワールでありながらも、重さやパワーよりもエレガントさやミネラル感がより強調された指向性となっています(キンメリジャン土壌によるテロワール由来の要素が強い傾向にあり)。
細身で黄系の豊富な酸が非常に印象的で、ドザージュ・ゼロとなるブリュット・ナチュールに仕上げられていることもあり、シャープな指向性が色濃くなる傾向にはありますが、葡萄本来のナチュラルな甘みがコアに位置していることもあり、不思議と飲みにくさは感じません。ボディの豊かさで勝負するような指向性ではないので、飲み手の嗜好、また酸やミネラルに対する許容耐性が問われる傾向にもありますが、ベースとなる資質はいたって良質で心地よく、さらには今後が楽しみな非常に優良な生産者でもあるので、シャンパーニュが好きな人にとっては要注目アイテムとなりそうです。
(2014/11)