- Very Good Quality -
モンタルチーノの南部の丘に18世紀前半からあるエリアで造られるブルネッロで、1973年にチンザノ伯爵家が購入後、世間の名声を得るに至ったようです。
伝統に裏打ちされた古典的な指向性がベースとなり、果実味を前面に押し出したようなモダンスタイルとは対極にありますが、それでも以前試飲した2001年とはかなり異なる世界観なのが非常に印象的です。2006年も素晴らしいヴィンテージとなりましたが、その分かなりタニックで、その軋むようなタンニンに樽の要素をしっかりぶつけてさらに剛直化している傾向にあるので、少し向き合うのに体力を必要とします。体躯そのものはサンジョヴェーゼらしくいたってタイトで、特に抜栓日は収斂系の要素と苦みが先行し果実味に乏しい印象もあります(まさに古典的スタイル)。しかし、翌日に持ち越す事で落ち着いた果実の魅力が表出し(逆に言うとタンニンが少しずつ熟れてくる)、ヨード系の要素等、当初は感じられなかった豊かな表情が少しずつ感じられるようになります。3日目にもなると、想像以上の体躯ボリュームが構築され、しっかりと各要素が昇華された姿が脳裏にチラリと見えるようになりますが、それでもかなりタニックな指向性に変わりはなく、できれば更に3〜5年程はさらに熟成させたい印象があります。
ポテンシャルの高さは十分感じられますが、それでも全体的なバランスがやや悪いので、真に迫るほどの偉大さは持ち合わせていません。しかし、この古典的要素による潜在能力と昇華感は大いなる可能性を感じさせてくれるので、焦らずじっくりと向き合い、そしてその本質を存分に引き出したいと思わせるだけの魅力は兼ね備えていると言えそうです。
(2014/10)