- Good Quality -
ヴィーニャ・エラスリス最高峰となる究極の1本がこの「チャドウィック」。しかもこの2000年は、名だたるワインに打ち勝ち、見事金字塔を打ち立てたヴィンテージとして非常に有名です。
今から約10年前となる2004年1月、リッツ・カールトン・ベルリンで開催されたブラインド・テイスティングの場で、著名なジャーナリストやソムリエたち36名が選んだ堂々の第1位のワインがこの2000年のチャドウィック。マルゴー、ラトゥール、ラフィットなど、超一流のボルドーワインが勢揃いしていたこともあり、この勝利によってチャドウィックの名が一気に世に知れ渡ることになります。
今回のロットは、ルイ・ジャドが94年にイギリスで興したインポーター「ハッチ・マンスフィールド」が扱っていたボトルで、現時点で既に14年という長期瓶熟成を経てはいますが、果実の表情に多少熟れた要素が垣間みられるものの、この当時主流だった「パワー主体の造り」の影響もあってか、今もなおエネルギッシュで若さすら感じるスタイルとなっています。
90年代後半で盛んだった過熟葡萄による溢れんばかりのパワーはここでもまだ健在で、そこにあてがわれた樽の焦げた苦み等、まさに時代を感じる世界観が遺憾なく広がります。多大なエネルギーと、それを収束させた要素がシンプルということもあり、多少バランスの面で難があったとしても、それを超えるだけの明確な訴求力となって飲み手に伝わります。現代においては、もはやこういった指向性のワインが造られる事はないと思いますが、良し悪しとはまた別に、こういう指向性(表現の可能性)そのものは、個人的には大いに評価したいところではあります(尖ったスタイルなのであまり万人向けとは言えませんが、時代を感じるひとつの指標として、機会があれば積極的に経験して欲しい)。
(2014/08)