- Good Quality -
ピノ・グリージョを使用した白ワインですが、スキンコンタクトによる伝統的製法によって造られるため、色調は「ロゼ」とも言える程の濃さを持つ赤褐色となっています。
フリウリのピノ・グリージョを飲み慣れた人にとってはそれほど違和感がないかもしれませんが、味も見た目も一般的な「白ワイン」とはまったく異なる立ち位置にあるため、予備知識がなければそう簡単には受け入れられない側面があるのも確かです。とはいえ、ダリオ・プリンチッチらしい独自性を保ちつつも、柔和さとたおやかさを兼ね備えた親近感、そしてコアから滲み出る魅力と真のポテンシャル、これらを満遍なく兼ね備えた姿に対しては素直に評価したいところです。
2009年と比較すると、ポッテリとした明快な魅力や果実のボリューム感など、外向的な側面がより印象的ですが、その反面、堅牢性や質実性などはやや大人しめな印象でもあります。とはいえ、全体を通してバランスしつつもしっかりとした主張を続けるあたり、さすがと思わせる要素が随所に見られます。従来のプリンチッチ像を念頭におくと、思った以上に明快な印象でもありますが、決して安易な方向に流れているわけではなく、やや弱い一面すらも翌日に持ち越すことでじわりじわりとエネルギーに覆われ、最終的にはブレのないアイデンティティの構築と主張へと行き着くので、総じて安心して身を委ねることが出来ます。
突出した個性だけでなく、非日常な価格的に位置しているという更に大きな難問があるので、やはり結論としては一般向けではないと言えるかもしれません。ただし、それでも中身自体はいたって良質なので、立ちふさがる様々なハードルを乗り越え対峙できる機会をみつけ、ぜひ前向きになって試してみてもらいたいところです。
(2014/05)