- Very Good Quality -
この「キュヴェ・クロード・ドゥノジャン」は、樹齢80年という古木から造られる「プイィ・フュイッセ」です。また、マスター・オブ・ワインの「リサ・ペロッティ・ブラウン」が非常に高い評価与えたワインとして、当時一躍話題となったプイィ・フュイッセでもあります。
以前試飲した2005年はそのポテンシャルの全容を引き出しきれなかった印象があったので、今回は瓶熟期間をより長くとって試すことにしました。黄金系のやや濃い目の色調に、熟れた樽系の風味と力強く凝縮した体躯から発せられるエネルギー感など、兼ね備えた力が遺憾なく伝わってきます。貴腐ワインを彷彿とさせる凝縮レベルにやや驚きがありますが、ミネラルや酸、そして苦みなどがしっかりしていることもあり、アタックの甘味とフィニッシュの辛味による二律背反的魅力が基礎にあるとも言えます。表層的な美味しさで訴求するような系譜とはやや異なり、自然な造りならではのナチュラルな浸透性や訴求力をコアに持っているのがその特徴で、その資質自体はクロ・デ・ベルティヨンヌと同質ではありますが、やはり圧倒的な密度差、凝縮差が明確なので、絶対的なポテンシャルとしては大きな隔たりがあります。
酸化熟成系の風味は確かに感じられますが、2005年に感じたようなブレタノマイセス系の要素は特に感じられず、より長い瓶熟成によって生じた各要素の充実感と一体感によって、より明確にキュヴェ・クロード・ドゥノジャンとしての指向性を表してくれています。まだまだ熟成可能な印象ですが、あまり長期間熟成させすぎると果実味が先に衰え、厳しい要素だけが残る可能性もあるので、完全な古酒になる前の時点、成長曲線のピークまでに飲む方が無難かもしれません(とはいえ5〜10年程度であればまだまだ問題なさそう)。
(2014/06)