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ミルズ・ヴィンヤードの広さは15.4エーカーで、ピノ・ノワールの植樹は他のクリュよりやや新しく1984年となっています(1998年に1エーカーを追加で植樹)。1987年~2007年までの21年間の平均収穫量は1.36トン/エーカー(20.5hl/ha)と低収量で、2007年ヴィンテージはフルボトル換算で943ケースが生産されています。
前年の2006年とはかなり異なる仕上がり具合、そして世界観なのが印象的で、2007年は完熟果実の豊満かつ明快な魅力をベースとした、ストレートな美点を持つスタイルへと導かれています。角は丸く、かなりぽってりとしてはいますが、体躯内部に細く一本柱が通っており、そこから発せられる渋みと苦みからくる収斂感によって、結果として適度な緊張感と張りが生じています。葡萄の熟度が高く14.9%と高アルコールでもありますが、現代的なワインらしく重さは特に感じられず、むしろスッキリとした軽快さすら持ち合わせているので、なんら無理なくその魅力を享受出来ると思います。
指向性そのものはシンプルで、一言で言うと「甘くて美味しい良いワイン」といった指向性ではありますが、ただ甘いだけでは終わらせないだけの手綱捌きは感じられるので、このあたりはさすがカレラといったところかもしれません。市場の非常に高い評価を具に実感出来るような圧倒的な世界感があるわけではありませんが、それでもむしろ親しみやすさがある分、間口が広くなるというまた別のメリットもあるので、このスタイルは前向きに捉えたいところではあります。
(2014/03)