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トスカーナを代表する造り手「サン・ジュスト・ア・レンテンナーノ」が造るメルロー100%のスーパーワインが「ラ・リコルマ」です。
従来のリコルマの印象と比較すると、2008年はやや陰な雰囲気、そしてややドライな傾向にあります。独特の海苔の佃煮系の旨味や甘味はやや控えめで、既に体躯と一体化している事もあり、適度なスパイス感とともにどことなくシラーっぽい雰囲気も垣間みられます。
抜栓直後は多少こぢんまりとしていますが、数十分程度経過する頃になると、本来のリコルマらしい魅力溢れる純粋な訴求力が表出しはじめます。位相がやや陽よりになり、誰が飲んでも理解出来るであろう明快な表情が広がりますが、翌日に持ち越すと、今度は抜栓直後以上に陰な資質へと推移し、微細ながらも多量のタンニンによる収斂と乾きが口中を襲います。明快な魅力は影を潜めますが、それでもバランスが崩れる程ではなく、更なる瓶熟成を踏まえたうえでの底力といった系譜にあるので、そこまで大きなデメリットを感じる事はないと思います(とはいえかなりドライな資質なので気にはなる)。
一定レンジ内でポテンシャルを極限まで発揮しようとするペルカルロに対し、より快活で朗らかな魅力を持つリコルマ。飲み手がどのポイントを重視するかで多少評価が変わるかもしれませんが、どちらも良質なモノセパージュワインであることに変わりはないので、近年における価格帯の落ち着き具合を考慮すると、お買い得感はかなり高いと言えそうです。
(2013/11)