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1983年に誕生したペルカルロは、6つの畑から特別選別されたサンジョヴェーゼ100%で造られます。年々評価が高まるペルカルロですが、2008年は近年の中では葡萄の熟度と充実度が感じられる内容になっています。
抜栓日の印象は、サンジョヴェーゼ的なタイトさや硬質感は概要程度でほとんど表に出ず、かわりに過熟感すらある果実の充実感と、ある種のペルカルロらしさ(素っ気ない程の素直さや実直さ)がストレートに伝わるシンプルなものになっていました。普通に良質なワインといったところではありますが、それでももはやサンジョヴェーゼという品種がどうとかいう次元にはなく、ペルカルロとしての立脚点がより明確化され、技術的には更なる高みに到達しているような印象を受けます。
翌日に持ち越すと、大まかな全体像が感じられるような一体感の増加と、熟した果実からくる魅力の相乗効果で、自然と心身に染入る浸透力が表出しはじめます。他を差し置いても前に出るような圧倒的な個性や主義主張があるわけではありませんが、ある種の本質的リミット感の中で最大限の仕事をしきっている印象があり(それこそがペルカルロらしさの良さの一端?)、飲み進めれば飲み進めるごとに求心力が増す傾向にあります。
まだまだこれからが本領発揮といったところでもあり、正直なところその全容が披露される前にボトルが空になっというた印象でもあるので、今回はペルカルロというワインの入り口に立った程度だったのかもしれませんが、どの熟成段階で対峙しても相応かつ淡々と魅力を発揮してくれるのが特徴でもあるので、その良質さは誰にとっても十分に理解出来る内容だと思います。
(2013/11)