- Good Quality -
ラツィオで造られるメルロー100%の「モンティアーノ」と同じ志を持つ兄弟といった世界観で、ヴィンテージスタイルやファレスコの目指す方向性といったものを加味し、うまくカベルネという品種の持つ表情を導き出している傾向にあります。
2004年に感じたようなカベルネ・フランらしさは特になく、タニックな堅牢さとイタリアらしい凝縮した果実をベースとしたカベルネ・ソーヴィニヨンらしさがうまく表現されています。概要としての世界観はモンティアーノと同じなので(良い部分もそうではない部分も)、両者の対比は非常に興味深いものになっていると言えます。
抜栓日の印象はまさに「カベルネ版モンティアーノ(逆に言うとモンティアーノはメルロー版マルチリアーノ?)」。コアの固さとハーブテイストの色調は異なるものの、指し示す方向性は同じファレスコとしての明確なスタンスが構築されているので、その魅力は非常に明確なものとなっています。翌日に持ち越すと、印象的だった密度ある果実味が減衰し、一気にタンニンによる厳格さが際立ちます。暴れるような素振りはなく、触感も北イタリア系ワインに通じるような冷徹さもありますが、とにかくタンニンの詰まった渋みと苦みが主体の表情へと変化するので、正面から向き合うには多少体力を必要とします。
もしかすると2007年の特徴と言えるのかもしれませんが、モンティアーノと同様に表情の安定感にやや欠ける印象で、非常に高いポテンシャルを有しているものの、ピークが抜栓日に来るということもあり、若干の懸念材料が存在するとも言えます。ただし、そういったこともあくまで高い次元、領域における話しなので、決してガッカリするようなことはないと思います。
(2013/02)