- Good Quality -
ブルネッロで名を馳せる「チャッチ・ピッコロミニ・ダラゴナ」が、カベルネ・ソーヴィニヨンとメルローという国際品種のブレンドで造るワインが「アテオ」です。
2007年とは本質が異なる印象で、その世界観は一種独特のものがあります。14.5%という高いアルコールや凝縮し熟した葡萄の力は健在ですが、熟した甘味と並行して独特の固さや茎っぽさが感じられ、抜栓日は熟したトマトジュースのような風味が漂います。野菜的な青みと過熟果実感が共存している状態は興味深く、もしかするとセパージュ毎の生育状況に差があったからことが要因かもしれませんが、それでも全体的には不思議とバランスしている(一定レンジ内に収まっている)ので、その個性さえ前向きに捉えることが出来れば、それほど否定的な印象を持つことはないと思います(逆に言うと苦手な人はとことん苦手かも…)。
翌日に持ち越すと固さがとき解れ、立ちのぼる芳香さ、高アルコール、過熟風味、これらが渾然一体となった独特の世界観へと昇華します。かなり個性的なスタイルではありますが、思いのほか良質な表情となっており、抜栓日よりも大幅に歩を進めてくれる傾向にあるので、相対的にはしっかりとした満足感が得られると思います。幅広い層に訴求するような指向性ではありませんが、「どこか突出するようなことがあっても明確な意志を放っていればそれで良し」と前向きに捉えることが出来る人であれば、結果としてかなり高い満足感が得られるかもしれません。
(2013/02)