- Good Quality -
ブルネッロで名を馳せる「チャッチ・ピッコロミニ・ダラゴナ」が、サンジョヴェーゼ以外の品種にまで視野を広げて造るのがこの「アテオ」です。2007年はメルローとカベルネ・ソーヴィニヨンによるブレンドで造られ、土着品種は一切使用されていません。クオリティそのものは非常に高く、まさに国際品種を使用したモダンスタイルなイタリアワインといった指向性にあります。
14.5%という高アルコールや凝縮し熟した葡萄、それでいて力だけに頼らない澱みのない綺麗な佇まいなど、価格帯を考えるとかなり努力の跡が垣間みれます。全体的にはメルロー主体といっていいような表情で、漢方系などのハーブ風味と熟した甘さの一体感が心地良く、どことなくリコルマを彷彿させるものがあります。ただし、全体的に「技術」に頼った感がやや強く、その結果、フィニッシュにかけてのごわつきやざらつき、若干の糖質さを感じる甘味などが、最終的な収束点をごくわずかに狂わせているような印象だったりもします。とはいえ、ほんの小さなボタンの掛け違いや、多少頑張りすぎたことによる余分な勢いなど、ちょっとしたことによるズレがより大きくなって影響を与えているといった感じでもあるので、アテオが持つ本来のポテンシャルや良質さそのものは十分伝わってくると思います。
方向性としてはややアメリカ市場向けな印象でもありますが、それでも純粋な点数評価としてはかなり高いものが期待できそうなので(インパクトは結構大きい)、現在の価格帯に見合う満足感はしっかり得られそうです。ポテンシャルがあり酒質も強いという特徴があるので、もし今飲むのであれば、余裕を持って翌日以降に持ち越すぐらいのスタンスがちょうど良いと思います。可能性として、もし熟成によって余分な力が抜けると、予想を超えるような思わぬ飛躍がみられるかも!?
(2011/02)