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相対的に濃厚で熟した果実が印象的な、飲んで素直に「飲み物として美味しい」ブルネッロとなっています。直前に試飲した2004年の各種ブルネッロとは指向性が異なり、濃厚かつ明快な表情が構築された、より万人に訴求する分かりやすいスタイルの現代的ブルネッロといった傾向にあります。タンニンや酸もかなり豊富ですが(もちろんアルコールも)、それにも増して瑞々しく果実もしっかりしているので、口当たりの良さやハッキリとした魅力、そして美点が明確でとにかく飲んで美味しいブルネッロに仕上がっています。
翌日に持ち越しても抜栓日と一切変わらない表情がそこにあり(もはや不自然な程)、徹底した魅力追求指向を具に感じるので、ある種穿った見方かもしれませんが、正直なところ人為的な要素における、ある種の技術的ワインといった姿が随所に感じ取れます(各要素が充実しているのでポテンシャルもかなりある)。とはいえ、それでも文句なく美味しい液体がそこに存在することには違いはなく、ブルネッロか否か、サンジョヴェーゼの美点が構築されているか否か、そういったこととは関係なく、多くの人が楽しめるスタイルなのに違いはないので、重箱の隅をつつくよりは素直にその魅力を享受した方がより幸せになれそうな印象だったりもします。
どことなく1997年のブランカイア(イル・ブル)に似たような指向性を根底に感じたりもしますが、思いのほか現実的な価格帯にあることを考えると、ブルネッロという存在を身近に引き寄せるアイテムとしては非常に的を射た解であり、その答えを明確に具現化している事実に対しては素直に評価するべきだとも感じます。
(2013/02)