- Good Quality -
イタリアを代表する、シラー100%で造られるワイン「イル・ガモ」。オーナー家族の4人の頭文字をとって「GAMO」と名付けられ、年間生産本数は僅か2,000本となっています。
2003年といえば非常に暑かった年として今も記憶に残っていますが、そこから想像されるような要素は特に感じられず、非常に瑞々しく素直に楽しめる豊満さがあります。密度感や充実感はそれ相応に感じられますが、全体的に体躯が柔らかくやや鈍い傾向にあり(お手軽レンジのメルロー的?)、以前試飲したフォントディのシラー100%ワイン「カーセ・ヴィア」と同種の資質を感じます。シラーらしいスパイシーな風味もかなり控えめで、とにかく優しい液体(やや捕らえ所がない)といった印象ですが、それでも十分に美味しく楽しめるので、異常に高いその価格を度外視すれば十分納得はできると思います。抜栓日に見せるその魅力は大いに評価出来るものの、そこがピークとなり、翌日に持ち越した場合はなだらかに右肩下がりとなる傾向にあったので、陽的な要素が楽しめる抜栓直後の表情を重視し、そのまま飲みきってしまう方がより良い結果が得られそうな印象だったりもします。
今回はやや瓶熟期間を長めにとりすぎた傾向にあるかもしれませんが、それでも本質的資質に関しては明確さを保っていたので、飲み手として「イタリアのシラー100%ワイン」というひとつの方向性を好むかどうかで評価が分かれるのではないでしょうか。個人的には、価格さえ現実的な範疇に収まれば(半額〜1/3程度に収まると有り難い)、いたってお薦め出来る銘柄だと感じるので、やや勿体なく思うというのが正直なところだったりします。
(2013/01)