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ドメニコ・クレリコの創業は1977年、そしてファースト・ヴィンテージとなる1979年から生産されているのがこの「チャボット・メンティン・ジネストラ」です。畑はモンフォルテ・ダルバにあるクリュの「ジネストラ」に位置し、標高400m、南~南東向きとなっています。
今回の試飲は瓶熟期間をやや長めにとりましたが、以前試飲した1998年ヴィンテージとその指向性やスタイルは同質で(やや驚き)、より魅力や質実さ、世界観そのものの現実的定着度が増している印象があります。
最も印象的なのがその「飲み物としての美味しさ」。10年を超える熟成期間を経ているとは思えない若々しさと逞しさ、そしてその圧倒的な瑞々しさが際立っています。奇麗に熟した果実味と樽の優しいバニラ風味が完全に合致し、バローロらしいタンニンは陰の立役者として体躯の安定感に寄与してくれています。王道的の「バローロらしさ」とは異なる世界ではあるものの、「モダンなワインの持つ甘美さや美味しさ」が真に具現化されているので、その満足感は非常に高いものとなっています。長い瓶熟期間を経てもその本質に変化はなく、むしろモダンらしいスタイルに磨きがかかる印象があり、表情の推移に関わらず常にバランスしているので非常に飲みやすく、14.5%という高いアルコールもまったく気になりません(むしろすいすい飲めるので簡単に1本なくなってしまうかも?)。
普段バローロを飲み慣れていない人に対してより訴求するスタイル(現代の国際市場に合致したスタイル)となっていますが、決して表面的な安易さを求めたものではないので、安心して存分に楽しんでもらいたいところです。2011年7月には5年の歳月をかけて建設した最新のワイナリーが完成し、この「ドメニコ・クレリコらしいスタイル」はより一層磨きがかかっていくと思われるので、今後の発展と進化が非常に楽しみです。
(2013/01)