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抜栓直後から素直に楽しめる果実感あるキュートさが印象的で、ラベルやボトルの見た目の厳つさとは裏腹に、万人受けしそうな飲み口の良いスタイルとなっています。セパージュはグルナッシュ80%、ムールヴェードル10%、シラー6%、サンソー2%、クノワーズ2%。ポンティフィカルのシャトーヌフ・デュ・パプとは指向性がかなり異なりますが、まずは多くの人に飲んでもらう、その上でシャトーヌフらしさ、造り手らしさを出していくという順序立ては、より現実的なスタンスとも言えるアプローチと言えるかもしれません。
14.5%という高いアルコールを誇りますが、ピュアな果実味の魅力を主体とする方向性ということもあってか、飲み難さは特に感じられず、無理なくグイグイ飲み進める事が出来ます。翌日に持ち越すと、逆に当初の指向性が反転し、本質的なタンニンの厳つさやスパイス風味など、ローヌのワインらしい個性を感じる表情が前面に出てくるので、抜栓当初のイメージが脳裏に残っていると、やや飲み難い印象を受けるかもしれません。
全体的にはポンティフィカルのシャトーヌフ・デュ・パプよりもシンプルな傾向にありますが、それでも緻密さやコアのエネルギーには十分なものが感じられるので、それほど大きな問題(際立つほどの優劣)はないと思います。純粋なテイスティングとしての評価では多少劣るかもしれませんが、その反面、多くの人に楽しんでもらえそうな陽的魅力(抜栓直後)を持っているという別の魅力もあるので、ここは資質の差(方向性の違い)として前向きに捉えたいところではあります。
(2012/10)