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ブレのない心眼、高いアルコール感、プルーン的な果実力、多様性あるハーブ風味など、シャトーヌフ・デュ・パプとしてのらしさをしっかり表現しながらも、しなやかで柔らかい酒質と向き合いやすい親近感を構築し、現代的な指向性をうまく取り入れた世界観となっています。セパージュはグルナッシュ、シラー、ムールヴェードルという3品種のブレンド。
抜栓日はやや取っ付き難い側面を内包していますが、それでも素性から放たれる魅力は明確で、根本的に万能型ではないという特徴ではあるものの(良い意味でローヌの個性が発揮されている)、その魅力はしっかり評価すべきだと感じます。翌日に持ち越すと一体感が増し、各要素間のつなぎ目がなくなるとともに、その訴求力は明確に向上します。かなりアルコールが高く(14.5%表記)、熟した果実のパワーと相まって、向き合うのに体力がいるのは確かですが、それでもメルローにも相通じるような本質的な柔らかさや豊満さがあり、そこにしなやかさと適度な浮遊感(軽量感)が加わるので、思った以上に飲み進めることが出来ます。
そのスタイルや個性は人によって好みが分かれるかもしれませんが、価格帯を考えると非常によく出来たシャトーヌフ・デュ・パプだと言えるので(5〜6k円レンジのワインとも十分勝負出来る)、ローヌという地の持つポテンシャルの一端を知るにはちょうど良いアイテムだと言えそうです。
(2012/10)