- Good Quality -
最初の一杯から楽しめる性質は残っているものの、2007年に見られたような迎合感は薄まり、時流への順応から再びロッカ・グイッチャルダらしさへの回帰が垣間みられる傾向にあります。サンジョヴェーゼらしいタイトさや硬質感はなく、柔らかく向き合いやすい体躯ではあるものの、ビリビリと痺れるタンニンやビターチョコの風味、シトラス系の風味や酸など、トラディショナルなキャンティ・クラッシコ(リゼルヴァ)の源流が根底に感じられる世界観となっています。
現代の飲みやすいワインに慣れた人にとっては少し個性が気になるかもしれませんが、往年のキャンティ・クラッシコを知る人にとってはホッと安心出来る要素を含有しているとも言えるので、このあたりは人によって多少評価が分かれるかもしれません。昔のロッカ・グイッチャルダに感じられたコアのポテンシャルが完全に戻ってきたわけではありませんが、それでもじっくり時間をかけて向き合えば、明確なエネルギーを兼ね備えていることは十分伝わってくるので、個人的にはしっかりとした意思を持ってポジティブに受け止めたいところです(今後のヴィンテージにより期待)。
(2012/08)