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タンニンを愛でるという、ある種トラディショナルな指向性を兼ね備えたスタイルではありますが、それでも全体像は頑固さや愚直さを持つものではなく、自然にタンニンと向かい合えるような落ち着いた佇まいとなっています。
近年はサンジョヴェーゼ系ワインであっても果実の熟度の高い「甘いワイン」が多くなっていますが、このカルミニャーノはそういった「ある種の分かりやすさ」に走ったようなタイプではないので、ある程度ワインを飲み慣れている人ほど魅力的に映るのではないでしょうか。もしかすると6年間の瓶熟成を経た結果がそうさせるのかもしれませんが、果実とタンニンの結合感から来る優しく滑らかな甘味がベースとなっているので、あくまでも甘味自体はしっかりとしたタンニンを補佐するちょうどよいスタンスとなっています。
ガッシリとした基礎体躯にサンジョヴェーゼらしい気質を感じますが、なによりも補助品種のカベルネ・ソーヴィニヨンやカナイオーロによるサポート感が好印象で、同じサンジョヴェーゼ系ワインとは言え、やはりキャンティとはひと味違う表情なのが非常に魅力的だと言えます。テヌータ・ディ・ヴァルジャーノにも共通する部分があるかもしれませんが、個人的には「サンジョヴェーゼ+補助品種」という組み合わせに独特の構成美を感じるので、あまりメジャーなDOCのワインではないだけに、出来ればより多くの人に体験して欲しいところです。
(2012/08)