- Very Good Quality -
最も優れた葡萄のみで造るフラッグシップワインとして、造り手の名前がそのまま刻み込まれた「テヌータ・ディ・ヴァルジャーノ」。1999年がファースト・ヴィンテージでしたが、今回の2001年はサンジョヴェーゼ65%、シラ-35%という2品種によるブレンドに変更され、生産本数も半分以下に減少して3,300本、270ケースとなっています。
非常に良質な葡萄が使用されていることがハッキリと分かり、その葡萄の力強さに応じた樽使いがなされている点など(最近はあまりみられなくなったバニラ風味が逆に心地良い)、10年に及ぶ熟成を経てもなお描写が甘くなることのない、明確化された全体像がしっかり構築されているのが印象的です。タンニンは豊富ながらも微細化されており、サンジョヴェーゼらしい硬質さや緻密さは感じられるものの、あくまでも輪郭を感じる程度にとどめられ、見上げるような立体感よりもどっしりした横方向へのボリューム感が伝わるスタイルとなっています。思った以上に野生感ある赤系果実のフレッシュな風味が感じられ、力強さやスパイシーな風味の中にホッと一息できるような要素が込められているのが面白く(シラーの高いブレンド比率が要因?)、純粋なサンジョヴェーゼワインが持つような「気迫ある強固な意思」といった表情とはやや異なり、より万人に向けたような適度な距離感が保たれているので、ポテンシャル系のワインでありながらもその間口はやや広めな傾向にあります。
今回は熟成期間を長めにとったこともあってか、ファースト・ヴィンテージの1999年と比較すると多少落ち着いている印象ではありますが、それでも「テヌータ・ディ・ヴァルジャーノ」としてのスタイルの進化もある程度は見て取れるので、ヴァルジャーノという造り手が切り開く道をすぐ後に続くという、非常に貴重な体験が堪能できると思います。生粋のサンジョヴェーゼ派向けワインというわけではありませんが、価格帯を考えると非常に高いクオリティを発揮してくれるのに違いはないので、ルッカという地の持つポテンシャルも含めて、是非一度は試してみてもらいたいところです。
ちなみに、このワインは2005年度版ガンベロ・ロッソで最高評価のトレ・ビッキエーリを獲得しています。
(2011/10)