- Good Quality -
アルト・アディジェの「ヴァッレ・イサルコ」というあまり聞き慣れないDOCですが、シュッド・チロルと呼ばれるこの地はオーストリアとの国境も近く、日常的にはドイツ語が用いられます。僅か1.8haの畑から造られるのがこのケルナーですが、スッキリ仕立てのシルヴァーナーよりも充実感と多様性ある構成となっており、桃やライチなどの豊かな甘味を感じる明確な美味しさを持った世界観になっています。抜栓直後から楽しめるだけでなく、翌日に持ち越した時の昇華感もシルヴァーナー譲りなので、より幅広い層に対して訴求してくれそうな印象を受けます。
しっかりしたアルコールと充実感ある体躯が印象的ですが、それでもベースは北イタリアらしいクッキリとした範疇にあるので、冷淡さと豊満さの両方をうまく享受出来る現代風北部ワインといったところかもしれません。相対的な力点はやや表層に置かれている傾向にはありますが、それでも基礎的なポテンシャルは十二分な物を持っているので、シルヴァーナーと同じように現状の市場価格が特に問題にならなければ是非一度は試してみて欲しいところです(高い品質を誇っているのは間違いない)。
(2012/07)