- Good Quality -
アルト・アディジェの「ヴァッレ・イサルコ」というあまり聞き慣れないDOCですが、シュッド・チロルと呼ばれるこの地はオーストリアとの国境も近く、日常的にはドイツ語が用いられます。僅か0.65haの畑から造られるのがこのシルヴァーナーですが、グレープフルーツのようなシトラス風味に磨きのかかった明確な酸、そして仄かなグリニッシュ系の風味、そこに更に魅力ある果実の甘味が加わることで、非常に魅力ある世界観が広がります。13.5%と高アルコールですが、バランスよく各要素が配置されているのでそれほど飲み難いという印象はなく、むしろ時間とともに徐々に果実の濃縮した甘味が輝き出す傾向にあるので、北イタリアらしいクッキリとしたスタイルでありながらも思った以上の親近感を保有していると言えそうです。
そのシャープさやアルコール由来の迫力などからして、抜栓直後はややシンプルで素っ気ない印象だったりもしますが、ものの1時間程度でも奇麗に開き、更に翌日に持ち越すとコアの果実感が前面にうち出た非常に魅力ある表情へと推移してくれるので、このワインの持つ本質的な魅力は全面に享受出来ると思います(じゅんわりと染入る美味しさが心地良い)。北の地域のワインが好きな人には間違いなくお薦め出来ますが、強いていえば相対的にやや価格が高めな傾向にあるので、一般的にはどういったシチュエーションやタイミングで飲むべきかが少し悩みどころかもしれません。もし価格的な面が問題にならなければ、是非一度は試してみて欲しいアイテムだと言えそうです。
(2012/07)